2011.6.4 Perfume in ナムラホール


〜〜 開始前 〜〜

14:30、もう既にグッズ販売が始まる時間だというのに、まだ3人は現れない。
スタッフの動きはにわかに浮き足だっているのがわかる。
あきらかに先ほどのワンオクロックの入場時とは異なって、厳戒体制モードだ。
車道から裏口までの距離はわずか2m足らず、ここに全神経を注ぐスタッフと、我々。
中からスタッフが大量に出てくる、電話で連絡が飛び交う、もう到着はすぐそこ。
角を左折して二台の車両が現れる。中はよく見えないが、人が数人乗っているのはシルエットで判別できる、が誰かまではわからない…
そうこうしてるうちに先頭車両のドアが開く…かしゆかである!
右手で待っているファンと何やら話している様子、プレゼントも渡したみたいだ。
そのまま入ろうとするところを、呼び止め、こっちを向いてもらった、前髪は分けもせず固めもせず自然だった。
次は…という間もなくタオルを被ったまま一気に入口に駆け込む姿が目に入った。のっちだった!
入口に消えようとする最後の一瞬、タオルの隙間から横顔がのぞいた。
こぼれ落ちそうなぐらい煌びやかに輝く瞳、鼻筋から口元までのライン、一瞬で見惚れてしまい、身動きできなくなりそうだった。
そんな中、最後に降りてきたあ〜ちゃんによって金縛りがとけた。
少し控えめに笑顔を浮かべながら、入口に消えていった。その佇まいは、メイクこそ完璧にしているものの、まだ、Perfumeあ〜ちゃんではなく、一個人としての西脇綾香だったんだろう。
ラジオで自ら語っていた、微かなカオリの人物の如く、大人しい一人の女性だった。
入り待ちを終えた我々は、5時間の戦いを終え、グッズ販売もそこそこに、一旦宿へと戻った。
待ち時間ではなく、沖縄の地で会えた喜びと、これからあの3人のライブに参戦できる、そんな期待感を高めてくれるには申し分なかった。
しいて言えば、のっち…マイペースすぎて…でも、それが彼女らしさ、なのよね。
やはり3人とも、いつも客前でも素に近い振る舞いと言われているが、PerfumeとしてのスイッチのON/OFFはあるのだ。だがスイッチがONでもOFFでも、見せる側面が違うだけで、3人とも偽りのない彼女達自身なんだ。

〜〜 開場 〜〜
かなり遅めの昼食を補給し、開場時間まで休息を経て会場付近に戻ると、会場を取り巻く長い行列が形成されていた。
整理番号があるのに何が…列を追っていくと自分の番号付近の表記が。
どうやらこの街中の公道で番号順に並ばせているようだ…整理スタッフらしきものはほとんどいない、車道をまたぐ部分に一人立っているのを見かけたが、声も弱くそもそも背も大きくない、高校生バイト?のようでまったく役に立っていない。むしろ物分りのいい客が自律的に並んでいるだけだ。
噂では800番まではワンオク、800〜1000はPTA、それ以降は一般、という話で、実際に前方の列はワンオクファンで埋められ、後方に緑Tが固まっていた。時々入り混じってるのは、別の手段で取った人たちだろうか。
開場時間もだいぶ過ぎているのに列がビクとも動かないな、などと話していると動き始めた。どうやら入場開始したようだ。
が、それを整理する者はおらず、自律的に動く。番号は前後を見て適当に列に加わり進んで行く。どうせ最後で番号チェックして入れ替わるはずだから…
変わらなかった。もぎりまで一切ノーチェック、そのまま入場してしまった!
これってもしかして…最初に適当に前方に入ればかなり前で入れた???なんて疑問が湧くが、おそらくそうだろう。行列の最初の整列段階では900番台ぐらいが最後で、それより後ろには人が殆んどいなかったにも関わらず、前方にはかなりの人がいた、緑も混じってた。
そういうもんなら、それはそれで構わないんだが、もうちょっとやり方ないのかなーと。
とりあえず、何がなんでも現地にいること、遠慮しないこと、があらゆる面で有利なんだと、心に刻むことにした。
入場すると、当然ながら前方は既に埋まっている、ざっと20列ぐらいか。
サイドはかなり空いているけど、暗幕が下りてて、よく見える範囲はあまり広くない。もしかしてPerfumeの出番になったら暗幕が開いてステージを全面的に
だが、そもそもホールとして近いし、スタンドなので距離としては全然大したことはない、よく見える。
横幅もかつてないほど狭く、真ん中付近にいると十分全体を見渡せる。
それに、ワンオクファン群を形成するのは女性の学生など若い人ばかりであり、巨人兵のような類はほぼ皆無であるため、見通しとしても十分だった。確保できた場所としては、まあ妥当であり、この後の出演順や休憩などでの入れ替わりを期待するには特に問題なく、ワンオク名物?ダイブなどがあってもまあ影響を受けない範囲だろうと、待機モードに入った。
いわゆる前座ではなく、ゲスト扱いということと、期待されている役割の一つが客寄せ、ということで最初にやることは考えにくく、かといって最後だとメインを食ってしまうため、中間部分で呼び込まれる形だろうと推測。
入りの時間がワンオク→かなり時間おいてPerfumeだったこと、リハ順番も同様であったことからしても、それで間違いないと思っていた…
今会場に流れてる曲もワンオクが好きそうなバリバリのロックだし。
ほとんどの緑連中もそれを見越して、後方でゆるゆるとドリンクを頼んでいる模様。
申し訳ないが、我々にとってはワンオク前座でPerfumeを見に来た形になるなぁ、と。
そろそろ開演時間20分程過ぎてるなぁ…入場に時間かかってるなぁ…
暗転からの「ぱっぱっぱーぱららら♪」!?!?!?!?
耳を切り裂くサウンド!紛れもなくFAKE ITの、それだった。
薄暗い舞台の上、白をベースに赤いラインの入った衣装を身に纏い、現れた3人。
間髪入れず煽る。それに呼応するかの様に前方に殺到する群衆…FAKE IT=まさに完全なるだまし討ちで、衝撃のライブの幕が開いた。
前方は既に極度の圧縮状態、にも関わらず後方で様子見を決め込んでいたはずのPTA連中が後ろから横から圧力を掛ける。
わけもわからず狼狽える前方のワンオクファン、逃げることもできず潰されるフェンス際の人、辛うじて脱出する人…その間もお構いなしにFAKE ITのイントロがテンションを掻き立て続ける。
気付けば10列目あたりに来ていた。前方はほぼすべてワンオクTの人々、左右位置もほぼセンターで、一人を挟んで(潰した状態で)中央のフェンス溝だった。
流れが落ち着いたのでFAKE IT集中したかったが、左右方向の押し付けがひどく、身体を真っ直ぐ立たせることができずフェンス側に大きくもたれかかる形となっていた。
態勢はおかしなことになっているが、おかげで中央のフェンスの真上に頭がくることになり、全く視界を遮ることなくステージを臨める状態になった。
ただし、ジャンプも縦ノリも何も出来ない、唯一稼働可能な首から上と左腕だけを駆使するライブになった。
FAKE ITはもちろん、いつものshort verであり、次に何がくるのか、順当に「ねぇ」か、勢いで「レーザービーム」あたりかと推測していたが…
再び舞台は暗転、その間にポジションチェンジを経て…
「ランランラン♪…」!?!?!?!?
薄明かりの中、浮かび上がる3人のシルエット、「シークレットシークレット」である。
エネルギーを充填された3体のダンシングアンドロイドがロボットダンスを始めた。
ドーム以来、ほぼ半年ぶりの披露である。しかも特別な意味を持つことになった曲を、一曲目に持って来たこのライブ、これからの展開に相当な期待を抱かずにはいられなかった。
いわゆる定番ではない曲だけに、過去の映像がリンクされて鮮明によみがえる。
しかし、目の前では3人が最新のシークレットを紡ぎだしている、確実に新しい歴史を刻んだように思う。
続いては、左右の二人がしゃがみ込むポジション、「Dream Fighter」!
これはやはりワンオクファンにも知名度が高く、さらなる盛り上がりとなった。
唯一、変な掛け声の勢力が大きく、かなり曲を台無しにしていたが、もしそれで現地の人の多くが楽しめていたならまあいいか。
ただ、もし実際のライブへの参加が少なく、そのために変な映像ソースを元にした刷り込みがされてしまってて、これが真っ当だと思われるのは嫌だな…
そして、ついにやってきた「レーザービーム」!
リクエステージ、フラワーフェスティバルとお預けを食らわされ続けたが、発売後初のライブ、そして、単なるゲストというよりも、本人達も意識する対バンとしての位置づけにおいて、こんな強烈な攻撃的ナンバーを出さないわけがない!氷結CM含めてテレビ露出も十分、まさに全観客が待ちに待った新曲披露だった…むしろ、この日のために温存していたのかもしれない。
と思ったらやけに短い、2コーラス目を吹っ飛ばして、一気に間奏〜ラスサビのショートバージョンだった。
もしかして、フルPV作るまでやらない?
ただし、例の衣装じゃないレーザーとしても初ではあったが、その切れ味にはまったく変わりがなく、むしろライブ会場というステージにおいて、さらに鋭さを増したキレッキレのレーザービームであった。
ただし当然ながら、客のノリはまったくバラバラだった…おそらく、今年の夏フェスを経てある程度固まるんだろう。きっとラブビーム!あたりは揃うかな。
そして、最後のマイク突き出しレーザーを、ドセンターで食らってしまった…完全に焼き尽くされてしまったのは言うまでもない。
「ありがとうございました。」
やっとのことMCに入った。
観客も一旦クールダウン、いつもの自己紹介に始まり、コール&レスポンスもいつも通り。
中でも、ゆかちゃんが結構話す。
「メガネ曇ってるねー(か」
「暑い?(あ」
舞台と客席最前列との距離はわずか50cmほど。
「近いライブはほんとに久しぶりなので…手が届くんだよ(あ」
と言いながら、最前の客列に手を差し出すあ〜ちゃん
「しっかり楽しんで帰りたいと思っております。ガチでぶっ飛ばしていく気なんで、マジで最後までよろしくぅ!(あ」
と、昨年のいいとも出演時からたまに見る、あの激しいロッカー?のモードにまた入っているようだ(笑)

「この中で、沖縄の出身の人?(か」(8割ほど手を上げる)
「初めてPerfumeを見るって人?(か」(8割ほど手を上げる)
「初めまして〜(か」
「沖縄でライブハウスでライブするの、初めてなんですよ(の」
「脚見ないで、脚\(//∇//)\(の」
「ワンオクロックのライブだけど、Perfumeのライブにしたいな、と思ってきました(の」
「みなさんに、名前を付けて参りました。(の」
「こっち!みなさんから見て左側!ゴーヤチーム!(あ」
「ごーやちーむ(か」
「こっち!(右サイド)ソーキチーム!(あ」
「ソーキ!(か」
「そして…ここ!(真ん中)海ぶどうチーム!みんな、Perfumeの好きな食べ物です。(あ」
「ここで、おーにくぅ、って言うんですけど、今日は沖縄なんで…(カンペ取り出して)すーぱむぅ!(あ」
すーぱむぅ!(PTA)
ポカーン…(ワンオクファン)

「ワンオクロックがこれ好きなんですよー言うてくれた曲をね(あ」
「シークレットなんてこういうイベントじゃ絶対しないんですよ(か」
ピノの曲ね(あ」
「手はあげられる?苦しくないかい?(あ」
「では、みなさん、手拍子お願いします。(あ」

ナチュラルに恋して」!
やはり、ポイントでの「フー!」の参加率が低い。
特にかしゆかは指を突き上げて待ってくれている。2回目の箇所で全力でやった時は、ウンウン、と頷いてくれた…

「ねぇ」
いろんなイベントやテレビでも披露してきたし、準新曲としてはもう十分の安定感。
発売時期から冬の海辺を思い浮かべていたが、夏の沖縄の道路にもよく似合う。
久々に見たクルクルがとてもさわやかで心地よい。これがきちんと地上波で流れたのはオンタマぐらいだから、一般にはあまり馴染みないし、結構新鮮だったと思う。
曲中、微かに聞こえた指笛が、とてもマッチしていたのは印象的。
ねぇ、のところで、相変わらず正面で手をフリフリ合わせられたのが最高だった。

「やってまいりました、PTAのコーナー!」
「男子ー!女子ー!そうでない人ー!メガネー!コンタクトー!らがーん!」
「Tシャツを着て来た人!パフュームT!ワンオクT!」
「今日のこのライブを超・超・超ー楽しみにしてきた人ー!」
「ゴーヤ!ソーキ!海ぶどう!すっぱむぅ!みんなー!」
「セイ、ホーオ!もっとホーオ!」
「ホッホッ!ホッホッ!」
「ホッホォ↘ホッホォ↘」
「ホッホッホー!ホッホッホー!」
「上の歯ー下の歯ー」
「前歯ー奥歯ー」
「ぐりぐりしゃかしゃか、ぐりぐりしゃかしゃか、シュワー!」
「食べたらみがく、やくそくげんまん!(リーン♪)」
「歯はみがこうねー!」
・サバイバルダンス!
・ウルトラソウル!
「手ー振って!手ー振って!」
「上下上上!下上下下!」
「あれやってない!(の」と、のっち師匠の厳しい監視の目が光る…
「あっちも!(の」
(みなさん、ライブはしにいくもんですね。)
カチャーシー!(あ」
「アーイヤ!アーイヤ!アーイヤイヤサーサー!」

「そろそろ自分たちの歌にいきたいと思います。(あ」
チョコレイト!ディスコ!

チョコレイト・ディスコ
それにしても、チョコでの観客の振りはよく揃っていたな。ロックというジャンルとは外れるが、知名度・ノリにおいてこれ以上このイベントで強力な曲はない。ドーム以来、ポリリズムへの回帰傾向が強いが、特に去年の連発と、元々持つポップ性に加えて、観客が曲全体にわたって踊り続けることができる仕掛け、それがチョコの本質だろう。
ギュウギュウ過ぎて、ほとんど振りできなかったけど…

ラスト!「ポリリズム!」
やっぱりというか、来たか、というか主旨、最近の流れからいっても、最後に持ってくるよね。
微か、はさすがになかったか(当たり前)
当然、ジャンプできるような状態じゃないので、左手だけで合わせる。
変な姿勢もこの曲で終わり…そう思うと全力でポリループできた。

シークレットで始まり、ポリリズムで終わる、舞台の大きさも場所も違うし、なんなら今回は別アーティストのゲストという形で登場したにも関わらず、始まりと終わりが一致している。
どんな時でも、どんな場所でも、どんな相手でも、彼女達は変わらず同じ姿勢でライブに臨んでいる、それを如実に表しているセットリストだったように思う。

変な体勢でいすぎて、やばい。汗も激しい、溶ける…
ので、一旦ベースキャンプに戻る。

〜〜 ワンオクの出番 〜〜

後半ぐらいから復帰。
噂のダイブ?というか人の上に寝っ転がってる人は何回か見えた。
前日の予習の成果もあって、そこそこ曲がわかるし、いい感じだ。
そんなところでワンオクの出番が終わった。
この後に、挨拶ぐらいは出てくるだろうということでゆるゆる待機。
ゲストの話キタ、ってことでそろそろ呼び込みがあるはずだから、と隙間を縫って前方へ…

で、キター!!
3人ともワンオクTシャツを着て再登場。
もしかして、今からグッズの宣伝でも…じゃなかった。
ワンオクのメンバーの一人は今年の夏T(白グレー横ストライプ)を着ている。
完全に今から何かするでしょ…

「コラボレーションできたらいいな、とずっと思っていて、この機会に一緒にやりたいなと思って、生バンドでセッションしたいなーと思って考えてきました!(の」
「ベースのボンボボボン…っていうの(あ」
「めっちゃ緊張してます」「緊張感すごいよ(ワンオク」
「『Perfume ∞(むげんだい) ONE OK ROCK』で…『Puppy Love』!!!!(あ」
むげんだい、はあ〜ちゃんが指で描きながらのタイトルコール。

Puppy Love by PerfumeONE OK ROCK(Special Session)
ドラムとベースのイントロで始まる。
それに合わせて踊る3人、すごい、いつものPuppy Loveだ。
最後の最後ってのもわかるし、こんな特別な仕掛けを用意してくれるとは思ってもいなかった。
もう、我々には全力で上下上上をやる以外になかった。

ざっと眺めると上半身裸のメンバーと一緒にセッションしてる3人、まさにロックそのもの。
あ〜ちゃんがマイクを持ってワンオクメンバーに歩み寄り、歌わせる。
最後は3本のスタンドマイクにワンオクも一人ずつついて、1本のマイクで2人が歌う状態。
とても楽しそうな3人+4人、すごい光景、きっとこんなセッションのようなこと、今後なかなかないだろう。
普段とはひと味違った、ハイテンションなPuppe Loveだった。

とてもキラキラした、いいライブだった。

〜〜 イベント終了後 〜〜

ついでなので、出口の方で出てくる3人を見送ってみることにした。結構な人が集まっていたが、もう車も道路につけられ、スタッフも集まりすぐにも出てきそう、ということで待機。

のっちが相変わらず最速!でも今度はきちんと止まって、こちらを確認し、「ありがとうございました!」で愛想笑いまでくれた。
かしゆか、テンションが高いまま乗り込んで行った。思えば今日のイベントで普段にも増して一番テンションが高かったのがかしゆか。すごく楽しんでたようで何より。
最後、あ〜ちゃん。やはり礼儀正しく、お辞儀付きで挨拶してくれました。

入りの時とは打って変わって、3人とも全力の笑顔と挨拶で去っていった。
多数の人がいたこともあるのかもしれないが、この時はライブ終了直後であり、Perfumeモードのままだったんだろう。普段目にする元気娘たちだ。
完全に素だった、入りの瞬間を見届けられたことも含め、一連の体験は非常に貴重なものだった。

FF カーネーションステージ


警備やスタッフの動向が慌ただしくなってきた。
もうあまり動いたりはできなさそうなので、最後のリフレッシュを行う。
後はステージが終わるまで、ひたすら集中…

ステージ上の暗幕がすべて閉じられ、ステージ脇を見えなくした。
そろそろ裏でスタンバイに入ったのだろう。
観客側もそれを察知して動き出す。
着座エリアはもう人を固定してしまっているが、スタンディングエリアは仕切りもなく、後ろからぐいぐい圧がかかっている模様。
少しいやーな感じが漂う。

もう出番は近いが、現場監督より怒号が飛ぶ。
「もうこれ以上一歩も動くな!もし動いたら危険と判断して中止にします。中止にさせたくないので、みなさん必ず守ってください!いいですか?」
「はーい!」
冗談のようだが、ここまで言わないとこの大人数は制御できなかっただろう。
そして、振り返るとその状況がよくわかった、スタンディングエリアは人だらけでわけがわからない。
これは一歩間違うとパニック寸前だ…最後まで無事に遂行されるのを祈るのみ。

続く司会の宣言で盛り上がり、あとは三人が登場するだけ、となり嫌でも盛り上がる会場、沸き起こる拍手、叫びだす一部の連中。
幕間からチラチラ向こうが覗き、気になって仕方ない。

「みなさん…」司会が再度口を開いた。
!?会場が静まり返る…
まさか、中止…?なぜ…ざわつく会場
「大変長らくお待たせしました。すみません、もう一度繰り返しますが、さっきの約束忘れないように!」どうやら、過剰なヒートアップを見越して、最後の注意だった模様。
そして…

「ぱっぱっぱーぱららら♪」例の出囃子が響き渡る!
正直フラワーフェスティバルっていう雰囲気とは別次元な気がするのだが、紛れもなく今の3人の音楽性やスタイルを表す曲だから、これでいいんだろう。
辺りは一気にバッキバキのPerfume Worldへ…

3人が左の幕間から登場!
ショッキングピンクに近い色の衣装、少しずつ違うのは、オリジナルだからだろうか、いつものスカート・パンツ・パンツスタイル。
跳ねる跳ねる!こちらは座ってて体を上下に揺するのが精一杯。
それでもヒートアップする観客、長時間の待機で冷えきったテンションは一気にMAX状態へ!

間髪をいれず流れるのは、ワンルームディスコのイントロ。
ひろしまーーーーー!!!!」
あ〜ちゃんの叫び声が炸裂する!
フラワーフェスティバルという "レジェンドぅ" が始まった瞬間だ。 ポジションチェンジですぐ前にあ〜ちゃんが来る。既に感極まってボロボロ来ててうつむき状態、踊りに付いていくので一杯一杯…
でも、なんとか持ちこたえた。
かしゆか、楽しそう。のっち、いつも通りのマイペース、だがどことなく、一つ一つの動作を丁寧にこなしていってるようだった。

「みなさん、こんにちわー!!!」
「聞こえますか?見えてますか?(の」

の→か→あ、の順での自己紹介、ちょっと珍しいパターン。

「届けよう、希望、元気!(あ」
今回掲げられたフラワーフェスティバルのスローガンにそって話すあ〜ちゃん
お帰りの声がそこかしこから。
またしても少しぐっとくるあ〜ちゃん

「ただいまーーー!!!」
「フラワーフェスティバルには何年も出させてもらってますが、コブクロさんの前座で出たこともあって、『早くコブクロ出せよ!』っていう声もうけて…ぱふゅ〜むって言います、歌わせてください、って(ポーズ)。衣装も500円の赤いシャツ着て、春なのにコーデュロイの冬物のスカートを履いて…いいと思って着てたんですけど…アクターズの時よりも情けなくて…凱旋ライブとか言ってくれるから、ほんとに申し訳なくて…今日こうやって、フラワーさんの方からオファー頂いて、スペシャルゲストいうて…ほんまにうれしいです。(あ」
「こんなに感極まったワンルームディスコは初めて!(の」
「Aメロだめかと、捨てとった。ゆかちゃんが励ましてくれたから、目を合わせたときに笑顔を見せてくれて、いかんよー、また始まったよー、って(あ」
「今日はみなさんに希望、元気、勇気を与えられるようにしたいと思いますので、最後まで見ていってください。(あ」
「こんな光景は、本当に…嬉しくてたまらないですよ!(の」
「いいきったね(か」
「今日はしゃべりたくてしょうがない!けど、時間があるの!曲とかぎっしり入れてきました!(あ」
「できる限りいっぱい入れてきました!(か」
「MCとか考えてないの!(あ 」
ここでステージの前方に3人で出て来て、小芝居を始めた。
「のっちさん、えー眺めですのぅ!(あ」
「ええ↑眺めですのぅ!(の」
「ゆかちゃん、えー眺めですのぅ!(あ」
「いやー、えー眺めですのぅ!(か」
ステージの上からの景色、さぞすごかったことだろう。
「色んな人から伝説を作って帰ってください、言われたんで、レジェンドぅ、作って帰ります!(あ」
「今日は、みなさんにたくさん聞いてもらえるようにスペシャルメドレー作って来ました!最近の曲ばっかり入れてきました、聞いてください!(あ」

不自然なガール
深紅ではないが、やはり不自然に赤系の衣装は似合う、引き締まる!
そのまま「VOICE」へ。短縮イントロver.
座ってても腕だけで映える振りが多いのでよかった。
1コーラス目が終わったところでベースラインから一気に次のイントロに繋げる変則パターン…
「ねぇ」
ここで三人はエンジンが掛かった、高速ステップを刻みながら指を高く突き上げ、完全にライブモードである。
1コーラス目とアウトロまでで構成されるテレビサイズと同様だが、メドレーの締めくくりとしてきっちり最後まで流れた。

「さあ、やってまいりましたPTAのコーナー!
みなさんと一緒に声を出していこうというコーナーです。」
「男子!女子!めがね!コンタクト!らがん!パフュームT!」
「このフラワーを、ほんとにほんとにほんとに楽しみにしてた人?」
「みんなー!みんなー!みんなー!」
「せいほーお!もっとほーお!ほっほ!ほっほ!ほっほぉ↓!ほっほぉ↓!ほっほっほー!ほっほっほー!」
・はみがき
・サバイバルダンス
・ウルトラソウル
「やってもーた!(の」
「やってもうたな!(か」
「違う人の歌ばっかりだったので、ちゃんと自分達の歌で締めたいと思います。(あ」
「チョコレイト?」「ディスコー!」
ここに来て観客を煽るのっち、ほんとに変わらない、いつもと同じステージ捌き。

チョコレイト・ディスコ!」
「いくよー!」
最近は別の曲への派生も多いが、やはりPTA明けからのチョコは鉄板。会場はディスコの大合唱!
ステージ上で跳び跳ねる3人、座ったままフリコピする人、手をあげる人、手拍子を送る人、歌う人、さまざまだが広島の地で各所から集まった人々がひとつになる。
後方からも「ディスコ!」の轟音が押し寄せる。
コンクリートスペースがまるでダンスフロアに!
ディスコ!大合唱の余韻から…

最後、「ポリリズム!」
ドーム以降、ポリの定位置になりつつあるラスト、いつものフォーメーションをとる3人。
こちらは座っていて飛べないが、そんなの構わずポリジャンプする三人。
完全にホームの空間、フラワーを掌握しきった全力のポリリズムだった。
前から後ろまで、本当にありがとうございました。
新曲が出るので、そちらも聞いてください!

といつもの商魂たくましさも忘れない!
披露してくれないのに…

カーネーションステージ 待機中

日付は変わって深夜0時。
レギュレーションとしての[当日]になったので、ここから待機することは可能、一応その可能性を当初から考えていた。
知人と合流し、再度会場の下見に向かう。

ぽろぽろと人は流れてくるが、あまり変化する気配はない。
終電も終わっており物理的にほとんど移動できない状態なので当たり前だ、おそらく朝までこの状況は余り変化ないだろうことも予想できた。

下見の道中、周辺のFFの屋台や別のステージなどが目に入る。
祭りとしてかなり大規模で、それぞれにも面白そうな工夫が見える。
比して、さっきのステージの前に執着する連中…祭りとして楽しまなきゃダメだよな、そもそもあいつらと一緒にはいたくない。
最悪、ステージ前満載で見れなくてもいいか、という気にすらなったので、宿に引き返した。
おそらくあのまま並んでたら、何回かの詰めでおそらく最前にいれただろうが、やめた。

ただ、別に宿にいたところで何かをするわけでもなく単に寝てるだけ、であれば、どうなるかわからないが、いやおそらくそのまま待機すればステージ開始までいけるだろうな、という推測を持って、始発が動き出す前に再度会場入りすることを決めた。
客観的に見れば、前日夜からいた連中と大差ないんだろうが、最低限のけじめとして。

05:00前後、三たびの会場到着。
予想通り人はほとんど増えておらず…が、それでも朝方で増えた分もあり、中央ブロックは5列ぐらいになっている、手薄な右ブロックにて待機を始めた。
前日仕入れた朝飯を早速食す。
すぐ前、荷物広げて全力で寝てる…何がしたいのか。
残り11時間


06:00前後
ぽろぽろ人が増えるがまだまだ。tweet見てるとどうやらJRは動いたが路電がまだまだらしい。
ここからの1時間で大きく様相が変わるな、と感じた。
すぐ横の地元民と思われる人のトークがおもろい。3人の実家の話や引っ越し・親の話題など。
残り10時間

08:00前後
路面電車の始発あたりから人が一気に埋まってきて、もうこの時点では着座エリアはほぼ満席。
前の方のやつらは寝っ転がって荷物も広げ倒してるので、こいつら片付ければもっと入れるはずなんだが…
マナーも禁止事項も関係なく、力技で押したやつらが正義、なのか。

10:00頃
待ち時間は続く…FFの開始は12時、それまではリハーサルが行われる模様。
ブラスバンドが登場、司会じゃなくて指揮者の人がおもろくて、ちょいちょいネタを挟んでくる。
本番5分しかないけど、リハ1時間やるんです、とか…
そんな感じで楽しく過ぎて、待ち時間ではあるが苦にはならず。
そして、訓練された観客達、ノリもよくブラバン・指揮者に歓声と拍手の嵐、こういうのはいいね。
我々もお邪魔してる感満載だが、同様に参加。
で…やっぱり前の方は…ほんと失礼極まりない。
翌日に起きてられもしないくせに徹夜とか片腹痛いわ。

12:00頃
ついにFF開始。
知事・市長・実行委員長の挨拶などなど。
FF娘の3人、東北復興支援ということで、各県人会の代表の人たち、と挨拶は続く。
で、待ってました!?のブラバン演奏。
これでまず休憩。

13:30頃
韓国はテグから来た皆さんの三鼓(太鼓)、右左後ろにそれぞれ3個ある太鼓を踊りながら叩くというもの。
広島と友好都市らしい。

14:00頃
ここからが、本格的なステージの始まり。
4組出てきて、みんな地元出身、これからどんどん大きくなって行くんでしょうね、あの3人のように…

15:00頃
ステージがカラになる。ここから1時間、Perfumeのステージまで待機だ。
ここまでで約10時間、まああまり苦ではない。楽しい音楽を聞きながら、しかも我々は早い段階で座るスペースを確保できていたので、入れ替わりで祭りを見に行ったりいろんな食べ物/飲み物を調達して来て、本当に祭りを楽しみながら、最大の楽しみを待つことができた。
しいて言えば、下は当然コンクリートなので、尻が痛い…

Perfumeはもう、すぐそこ…

FF前日からの場所取り絶対ダメ!!!じゃないの?

というわけで広島での観戦記をば。

前日入りは当然のこととして、広島入り。
20:30 そのまま夜のラジオ生放送で流れるということで、ラジオ波のほとんど入らないホテルを抜けてラジオの聞ける携帯を持って、下見がてら会場に向かう。
21:15 会場に到着、比較的わかりやすい場所、アクセスもしやすく大量の人があふれる予感たっぷり。
予想はしていたが、既に約10人の場所取り連中がいる。
http://www.hiroshima-ff.com/qa/perfume.html このようにわざわざ専用のhtmlまで起こして注意されているというのに。
こいつらはきっと、そんな情報すら見たことのない連中なんだろうな、きっと地元民でたまたま近いから気楽なノリでいるだけだろう、ということに。
21:25 ラジオは快調に進んでPSPSからPerfumeの出番、地元トーク満載で楽しそうなラジオが続く。
待機連中は無反応。なぜ?レーザーまで流れてきたけど?
よくよく観察してみるとゲームしたりくっちゃべったり、ラジオ聞いてるようなのは一人もいない。
で、納得した、こいつら別にファンでもなんでもなくて、単なる野次馬なのだ、と。

それよりも警備員がまったく動かないのが気になる。
普通なら前日席取りNGとして排除に動くかと思いきや、普通に談笑してる。
いわゆる「警備」としては、特に危害を加えそうな連中がいるわけではないので、夜の当番の仕事としては、前日席取り連中の排斥なんてものは含まれていないのだろう。
ただ、それが10数時間後の危険因子になりえる、ということも知らずに。
この時点で、禁を無視して前日から場所取りしたやつが勝ちになるのは確定していた。

そうこうしているうちに一人上着を脱いだ。緑Tが見えた。失望した。

22:00 ラジオ終了、やはり無反応。
こんなテンション高い生放送聞いてなんで?某所から傍受している人々の湧きっぷりったらなかったんだけど…
当日になるまでまだ時間あるし、少なくとも、こいつらと一緒に待機なんて絶対したくないので、一旦ホテルに戻ることに。

ただ、このまま待機が許されるなら、ステージ前大混乱、というイベントとして最悪の状況にはならないだろうな、とも。
特等席が確定してしまえば、後は捌きやすいからね。

そして、その時禁じ手を犯したやつらが大勝利する、観覧としては最低の結果になることも。

ネタバレニシティ

ネタバレって何ですか?
自ら情報を早く大量に仕入れるために使っているツールのせいで自分の好まざる情報に軽く触れてしまった時に使う言葉、でいいかな。
いわゆる一般の目に触れる状態にすることがpublicityだと思うけど、それ以後もその情報に触れていないのは単に自ら制限してるだけか、そもそも資格・条件がないだけなのでは。

自分で勝手に制限をかけて、その履行を他人に強要するとは身勝手極まりない。
情報に触れたくなければ、情報ツールを使わないことだ。
使うとしても、その流れてくる情報をコントロールできるように使いこなすべきだ。

一般の目=公知の事実と解釈すると、オフィシャルから報道機関を通じて不特定多数に流れた情報はそれにあたる。
一定条件を満たした場合にのみ触れることができる情報であれば、これは守秘義務に該当する恐れがある。
少なくともテレビ・ラジオ放送波に載っかったもの、情報の載った出版物が発行されること、合法的な手段でWebに提供された情報、これらは保護の対象にはならないだろう。

通常では不特定多数一般の目に触れ得ない情報(資格や条件・時期)を流したりそれに加担することをネタバレと呼んで制限すればいい。
それ以上はあくまで受け手だけの問題。
他人に情報のコントロールを強制することは間違い、自ら努力せよ。

想像以上のDVD

内容のみならず、売れ行きについても想像以上だった東京ドームLIVE収録のDVD。
一体何が起こったのかを各要素を踏まえ見ていくこととする。

[内容]
内容が優れていたのは間違いない。
また、ライブ自体が記念公演といった主旨もあったため、一般からの注目も集まりやすく、手に取りやすい要素にはなった。

[メディア影響]
公演と前後して、プロモーションを兼ねて広範囲の番組に出演してきた。
また、中の人への評価が高いこともあり、各種情報番組でも積極的に取り上げられた。

[NHKドキュメント]
おそらく、主要因の一つがこれだろう。
晦日の深夜(前夜)という状況もあり、比較的多くの人に見てもらうことができた。
のみならず、4ヶ月に及ぶ公演に向けた舞台裏を真剣に追う内容であり、公演自体のすごさだけでなく、3人やその周りのスタッフの意気込みを伝えるのに十分な内容であり、自然と発売されるDVDへの興味が湧くものであった。
ごまかしのきかない内容がNHKらしく、あの状況のMJと同じ局とは思えない熱の入り方だった。

[流通形態]
過去、youtubeを始めとするネット界隈から盛り上がりが起こったことも影響し、ファン層のネット利用率が異常に高い。
後述のポスターにしても、根本はここが原因で店頭売り上げ比率が他と比べてかなり低いことが想定される。
ネット直販モデルは当然のことながら、個人情報と関連付けられ、非常に確度の高い受発注が可能となるため、余剰在庫となるような発注をする必要がなく、余剰在庫が生まれにくい。変に人間の関与を行わないので「売れるかもしれない」ということにはならず、単純に事前受注数を元にした発注を行うだけとなる。
だが、店頭販売に関してはそうではない、基本式があるにせよ最終的に発注数を決めるのは人間である、しかもこれは店舗ごととなる。
そしてそのために必要な要素は事前の予約数である。
予約の数が多ければ多い程、また勢いが強ければ強い程、店頭で売れることを確信し、より多くの発注を掛けることができる。
想像以上の売り上げを図るためにはこの要素が欠かせない。店舗がその判断で在庫リスクを抱えてくれることにより、今まで手にしなかった層にまでアプローチできる機会が生まれる可能性が高まる。
amazonは決して(過去の)自分に興味のないものや触れたことのないものは勧めてくれないのだ。
もちろん、このやり方は現在では最適ではないのかもしれない、が、実質的にこのやり方でほとんどが回っている、その上に乗っかるのであれば、その仕組みに従わなければ予想以上の結果には結びつかない。

[予約特典]
発売1ヶ月前になって、「店頭予約だとポスターが付く」発表があった。
これは、今の瀕死の小売り業界の要請もあったのだろう、膨大な数の準備がなされたようだ。
結果として、ネットから店頭に流れる動きと、ネットに加えて店頭でも買う、という状況を作り出してしまった。
また、かなりの数が用意されたために、当日予約なしの状況でも特典が付く状態となり、最終的には複数枚所持者を増やしてしまった=一般向け購入可能枚数を減らしたと考えられる。
また、発表と同時にネットから店頭から流れた層の意見を聞く限りでは、どうやらこのタイミングで多くの店舗からのオーダー報告は終わっていたようだ。結果として単にポスター確保だけになってしまい、店頭に並ぶバックオーダーを増やすことにはつながらなかった。
レーベルの意図としては、おそらくそこまでの意図がなかったのだろう。過去の売り上げから想定値をたたき出し、それに基づく出荷準備を勧めていたし、ほぼその想定通りの事前オーダー数に収まっていたのだろう。あとはその販売をどこにやってもらうかのコントロールのつもりだったに違いない。

[再販制度]
オーダーの話と併せて、再販制度について考える必要がある。
DVD及びDVD付きCDは、この再販制度(同一商品同一価格販売)の対象外である。
これは、再販制度によって返品可能なシステムであったために、小売店側が過剰なオーダーを行い、売れなければ返品する=メーカーが抱える余剰在庫、ということをさせなくするためにメーカ(レーベル)側が要望し、法の適用外とさせた経緯がある。
そもそも再販制度自体が(当時)レコードの価格維持を図って利益を多くするためにメーカー側が進んで要望した制度であり(見返りとしてメーカーへ返品が可能)、この制度のおかげで小売店は多くの在庫を店頭に並べることができ、結果として爆発的なヒットを支えるものであった。
しかし、時代とともに傾向が多様化し爆発的ヒットが出ない状態になると、返品だけが膨れ上がり、これは制度のせいで安く売りさばくこともできず(実際は二次や中古に卸すことで新古品などとして捌いてはいたが)、廃棄せざるを得ない、メーカーにとっては非常にやっかいなものとなってきていた。
そこで、DVDを制度対象外として、売り切り制とした。
その結果、店舗は必要な分以上仕入れてしまうと店頭在庫となり、捌くにも大幅な値下げが必要となるため、売れる可能性のある最低限しかオーダーをしなくなる。
DVDには、その周辺制度上「予想外の大ヒット」は生まれないのである。

[レーベル]
そんな状況でも、ポスター作戦やドキュメント放送、各種メディア影響などにより、事前にかなりのオーダー数が出たことは想像できる。
が、次に出るのはレーベル側の体制である。
レーベルの役割は売れる予想を行い、その数を忠実にこなすことである、当然そこには過去の実績やパターンが反映されるし、それがレーベルの最も得意とするところである。
ただし、その過去の実績やパターンから外れるものについての予測はうまく機能しない。
さきほどの流通形態の話からも、実際の売り上げ規模からも、数字上は購買層は頭打ち、と見るのは間違っていない。
当然、数字だけではなく、メディアの影響・評判なども反映される要素であり、ここの考慮がなかった、というわけではない。
店頭側のオーダーが少なすぎたのか、というとそういうわけでもない。
にも関わらず、今回多くのニーズを満たすだけの供給を行えなかった。
まずは、上述のネット→店頭の予約振替への対応である。実質的に店頭からのオーダーが増えたはずなのだが、それに応えられていなかった。
これはレーベル規模の問題もあり、一度決まってしまった生産数を簡単には変更できないのだろう。
いわゆる4大メジャーと呼ばれるところは、そもそもの全体供給量が多いため、急な増産の可能性も高く、それが可能となるマージンをそれなりに確保している。しかし、そうではないレーベルについては規模が小さくなり、結果として確保可能なマージンも小さくなる。急なオーダーには対応できないのだ。
そして、もう一つの重大な要素が過去の失敗の実績である。
ポリリズム→GAMEと一気に評判の高まった中で次の一手として満を持して投入したlove the worldの完全なる供給過剰。
そして、これ以後もほとんど増えない出荷枚数=バックオーダー数。
世間の評判とは裏腹に売り上げにあまりつながらない実績を残し続けてきたために、評判の影響を小さく見ざるを得なかった可能性が高い。
これは誰のせいかといえば間違いなくユーザ側だ。
問題というよりは、ネットを好む層や携帯ダウンロードを主とする学生、そういう嗜好形態のユーザが主であるというところにマーケティング側が対応しきれていない、そしてこれはこのファン層に限ってのみ異常に比率が高い、他が参考にできないことが考えられる。

[初回版]
本来、初回盤というものは数を絞ってプレミア感を煽る目的と同時に販売単価を上げて利益を最大化する仕組みであるが、近年では再販制度回避策として用いられるのが主となり、そもそもCDではないDVD単体のパッケージではあまり必然性のないものである。
「通常盤」を出すことを義務づけられていないので、すべて同一パッケージでなんら問題ないはずなのだ。
それを今回あえて初回盤と区別したのは、内容の濃さからして「参加した人の記念となる」部分を重視したと考える。
「鳩」がそれを一番よく表しており、当日参加していない人間にはまったく意味不明であり、これに対して差額を払う価値はないと考えるだろう。それ以外の特典については、よりコア層に関しては興味を示すが、一般的にはやはりおまけには高い感覚だろう。
また、5万人収容のドーム公演であるから、このコア層の多くは当日参加したという前提に立つと、コア層=参加者だけに受けそうな特典、と考える、初回盤の価格6500円がドーム公演のチケットとまったく同額なこと、パス型ステッカーが封入されていることからも間違いない。
よって、それ以外の一般向けには、その分の差額を引いた通常盤を提供することがDVD購入への敷居を下げる、という意味では非常に効果があるだろう。

[地域性と店舗の流動性]
残念ながら、3人の活動は非常に地域的な偏りがある。
もちろん学生と並行して行っており、そう簡単に移動できない部分もあるが、元々の受け入れられてきた素地が偏っているため、普通の首都圏以外の地域の店舗にはあまり評価されているとは言えない。
結果として、地方でのファン層は比較的薄く、この層は手軽に買えるネット販売の利用比率がより高く、地域の店舗ではより売れ行きが薄いと考える。
となれば、当然初回盤についても日常的に余り、余裕を持って買えた、のが今までなのだろう。
これに対し、首都圏では店舗間競争が熾烈で、特典などで差を付ける文化となっている。
そのため、ユーザ側は浮動傾向が大きくなり、予約という行為をしなくなる。
ただし、こういう店舗は実質的な売れ行きを判断材料としているので、オーダー数は予約数にそれなりの比率をかけて算出されており、あまり影響は大きくない。
ただし、新規層が増えた場合については当然想定できず、ものの確保が困難になる。
ただ、新規層とは言え普段から別のアーティストの作品を購入している従来の音楽志向層は当然のように予約を行っている人も多い。
そこに確保された分だけ、普段から浮動傾向が高いユーザは今回まともにその影響を食ったのだろう。
ポスターの発表で山の様にキャンセルが出ていたのを見るだけでもそれがよくわかる。
また、最近の評判を着実に察知し、ネット販売の割安さを相まって転売を仕掛ける層がかなり多かった。
この影響も大きいといえるが、残念ながらこの転売しようとしている者達の方が、いくらかこの作品のすごさ・人気について十分に把握していたんだと言える。
予約せずに初回盤を買えなかった人々は、はっきりいって3人に対する評価が甘かったのだ、自業自得。

ただ、少なくとも我々は今回については何か大きな流れが動き始めたような気がしてならない。
ドームドキュメントの一般層のあまりの評判の高さと、その流れをそのまま受けての今回の販売の騒動。
いずれ振り返った時に、「チャンスを与えてくれた曲」のように、次のステップにつながる重要な節目となるかもしれない。

そして、今後の課題は間違いなく、ネットに依存していない層のファンをしっかりと確保すること、だろう。
流通大革命には、まだ少し時間がかかるはずだから。

MJの迷走?

NHK総合で日曜に放送されているMJ。
いつからこんな状態になってしまったのか…
と単に嘆いていたが、プロデューサのせいだけにするのも何か違う気がしてきたので、それ以外の理由を考えることとした。

2010年4月から、それまで深夜枠だったMJが日曜夕方に「昇格」することとなった。
これに伴い、それまでよく起用してもらっていたPerfumeも「ナビゲーター」という役回りでレギュラーとなった。
理由としては、音楽的な好みが最初だろうが、MC力や人当たり、そしてビジュアル面もあったかもしれない、こういった点で夕方の顔として、NHKの中では比較的コアな(POPにおける)音楽番組から、ある程度茶の間向けの要素を持たせて幅広く展開したい意図があったのだろう。
逆に言うと、深夜枠のままならばこの「ナビゲーター」といった役回りを与えられることはなかったのかもしれない。
そして、この幅広くということは、バラエティ化することはある程度避けられないものだったし、それは予定していた方向なのだろう。
これはPerfumeにとっても深夜枠以外でのレギュラーということで、かなりのチャンスであった。

にも関わらず、だ。
気がつけば、番組は音楽はおまけにすぎず、完全に民放のバラエティ番組と同等かそれ以下に成り下がってしまった。
そして、あくまでテレビ活動を主にするわけではない3人の扱いは微妙になり、存在としては浮きかけている、もはや役割がなくなってしまっている。「顔」という部分ですら…

これは完全に推測ではあるが、理由として次のようなものが考えられる。
[時間帯の悪さ]
言うまでもなく、日曜18時台といえば不動の視聴率番組がある。
それ以外の番組は軒並み、ほとんど見られていない、不毛の時間帯である。
当然のことながらこの放送局は民放ではないため、直接的に視聴率うんぬんが番組に影響することは基本的にない。
が、それ以外の客観的評価基準がないため、やはり指標としては使われる、結果として番組の方向性にも十分影響する。
この環境の中で、この時間帯で、深夜枠以上の視聴率を取ることは難しい。
そもそも、それまで放送していたのが「海外ネットワーク」という国際情報番組、今までMJが持っていた視聴者層とまるで違う。
主な視聴者層であった10代後半〜30代程度についていうと、日曜の夕方の早い時間帯にじっと家でテレビを見ることはあまりないだろう。
結果として、その時間帯に見るであろう、より若年層向けにシフトする必要がでてくる。
Perfumeは確かにバラエティもこなせて、その辺の芸人顔負けのトークを展開できるが、それが3人の魅力の核ではなく要素の一つにすぎない。
決して幅広い視聴者向けのバラエティを展開するのに適している、とはいえない。

[スケジュール調整]
おそらくこれが主要因と考えられるが、大学4年生としてきちんと活動するトップアーティストはとんでもなく忙しい。
真面目な大学4年生は間違いなく忙しいし、ライブ活動・リリース活動・PR活動を休みなく展開するアーティストも間違いなく忙しい。
これを両立させていて忙しくないわけがない。
加えて3人は自己鍛錬を欠かさない。身体的なもの・所作・行動・食すべてに気を配る必要がある。
そして、やはり中でも大学生活の部分のウェイトが大きい。アーティスト活動をある種制限してまでもここに時間を割かせていることを考えると、NHK側の想定する時間の確保があまりうまくいかなかったのではないか。
おそらく事務所側の配慮だろう、3人は引き受けた仕事はきっちりこなそうとするはずなので、その前段階でカットしていると考える。
NHK側としてはたまったものではない、満を持して夕方枠に引き上げて、番組の顔として起用した時に、毎週のレギュラーの顔の時間が確保できないなんて。
NHKはリハーサルがうるさく細かいことで有名である、おそらくMJについても同様と考えられ、通常の放送・収録時間以外にも結構な時間の確保を要求したのだろう、それらが十分に満たせなかったのではないだろうか。
といって、毎週の放送である、穴をあけることなんてできない。
取れる対策は、「Perfumeのスケジュールにあまり左右されない番組内容に変更する」ことだ。
番組内でのウェイトを下げる、出演しない回を作る、そして…代わりの顔になれそうな人間の出演機会を増やす。
それも、「より若年層に親和性の高そうなわかりやすい存在」を…

[誤算]
出演しなくてもいい回避策として考えた「アニソン特集」や「アイドル特集」が、予想以上に視聴率がよかったこと。
当然である、どちらも人の違いこそあれ「オタク」をメインターゲットにしている、極めて忠誠心が高い、番組を見ることを最優先に考える。
また、どちらもより若年層に受け入れられやすい、自然と視聴率に反映される。
もう一つの誤算がある。
年6回行われる某競技である。
この1年、不祥事続きでロクなことがなく、存亡すら危うい、視聴対象の番組としての価値はもうどん底である。
当然ながら視聴率はその前の番組の影響を大きく受ける、そこがコケると次の番組へのマイナスはかなりのものである。
結果、視聴率が想定を下回ったことは十分に考えられる。

このような要素が絡み合った結果、今のような迷走状態になったと考えると納得がいく。
そして、この状態は3月末で必ず終止符が打たれるだろう、その時の選択肢は次のいずれか。
・スケジュール調整の問題が解決したのでメンバーそのままで内容グレードアップして継続
・メンバーそのままで深夜に舞い戻る
・内容だけ深夜の頃に近づけ継続
・内容・メンバー総テコ入れで継続
・番組終了
上から希望的順序で書いたが、実現性としては下からの方が可能性が高いかもしれない…